キャリア教育コラム

情報モラル教育とは? ICT上の道徳教育

更新日:2018/10/11

アクティブラーニングやICT教育(情報通信技術を使った教育)の導入が進む中、教育現場で危惧されている問題が情報を扱い公開、発信する側のモラル、道徳教育です。正しい倫理観を持ち合わせて取り扱わなければ、便利な環境が毒にもなりえます。ここでは情報モラル教育の必要性や事例について解説いたします。

 

新学習指導要領

 

文部科学省が推し進めている新学習指導要領にはアクティブラーニングやICTの活用が盛り込まれています。
新学習指導要領のポイントは「主体的・対話的・深い学び」そして「生きる力」です。現代は多くの分野でICT/IOTが活用され、その基礎となるプログラミングの重要性が高まってきています。そうした中で、幼少期からプログラミング的思考を学ぶカリキュラムも導入される計画が指導要領にも含まれています。

 

ICT教育導入の不安点

ICT/IOTの知識を義務教育をはじめ子供の頃から身につけていくことはこれからの時代に非常に必要であリます。しかし同時に、使う側の道徳やマナーを学習する環境の整備も必要ではないかと懸念されてもいます。「face to face」「距離の近いコミュニティ」ではない環境だからこそ、より注意をはらったマナーやモラルが必要になります。

 

情報モラル教育

そうしたインターネット環境、ICTなどの使用ルール、道徳、モラル教育のことを「情報モラル教育」と言います。文部科学省では情報モラル教育について以下のように記しています。

“情報社会では、一人一人が情報化の進展が生活に及ぼす影響を理解し、情報に関する問題に適切に対処し、積極的に情報社会に参加しようとする創造的な態度が大切である。誰もが情報の送り手と受け手の両方の役割を持つようになるこれからの情報社会では、情報がネットワークを介して瞬時に世界中に伝達され、予想しない影響を与えてしまうことや、対面のコミュニケーションでは考えられないような誤解を生じる可能性も少なくない。このような情報社会の特性を理解し、情報化の影の部分に対応し、適正な活動ができる考え方や態度が必要となってきている。そこで、学習指導要領では、「情報社会で適正な活動を行うための基になる考え方と態度」を「情報モラル」と定め、各教科の指導の中で身につけさせることとしている。
具体的には、他者への影響を考え、人権、知的財産権など自他の権利を尊重し情報社会での行動に責任をもつことや、危険回避など情報を正しく安全に利用できること、コンピュータなどの情報機器の使用による健康とのかかわりを理解することなどの内容となっている。これらの内容は、情報社会の進展に伴って変化することが考えられ、今後も柔軟かつ適切に対応することが必要である。また、普及の著しい携帯電話をはじめとする携帯情報通信端末のさまざまな問題に対しては、地域や家庭との連携を図りつつ、情報モラルを身につけさせる指導を適切に行う必要がある。”

従来の教育現場でも、生徒全ての行動や言動、集団やコミュニティ内の情報を把握するのは困難です。それがインターネット上での行動や言動となればさらに困難になることは想像に難くありません。とすれば、事前にモラルや道徳を正しく生徒に理解してもらうことが必要になります。

 

 

引用元:文部科学省「情報モラル教育」

 

インターネット上の問題に関する指導件数の推移

文部科学省より、インターネット上の問題に関する指導件数の推移が発表されています。それによりますと問題発生の件数の増加、若年化が進んでいることが確認できます。この資料は2006年〜2007年を表したものですので、現状はさらに件数は増えていることが予想されます。

 

 

情報モラルで指導すべきポイント

情報モラル教育の指導の内容は「情報社会の倫理」「法の理解と遵守」「安全への知恵」「情報セキュリティ」「公共的なネットワーク社会の構築」であり「個人情報の保護」「人権侵害」「著作権等に対する対応」「危険回避」などネットワーク上のルールやマナーなども同時に指導する必要があります。文部科学省のガイドラインによると以下の指導項目が情報モラル教育の最初に学ぶべきポイントとして挙げられています。

 

・発信する情報に責任を持つ
・情報社会での行動に責任を持つ
・情報に関する自分や他者の権利を尊重する
・情報社会のルールを知る
・情報社会のマナーを守る
・情報を正しく安全に利用する
・健康に留意して情報機器を活用する
・情報社会での危険な面を理解し身を守る
・不適切な情報を回避・対応できる
・情報セキュリティの基本を知り対応できる
・情報社会に対して公共的な意識を持ち対応できる

 

引用:文部科学省「情報モラル教育」

 

情報モラル教育の導入事例

岩手県立総合教育センター

実施目的

学校教室などの安全な環境の中でWEBサイトや掲示板などのサービスを生徒自身が体験し安全な使い方や情報発信時の注意点、情報モラルなどを学習する。またその内容を教材化し生徒、教員、PTAで共有することを目的とする。

 

学習内容

STEP1 教室内でのインターネットサービスの疑似体験
STEP2 有線LANを使ったPC環境でのインターネットサービスの体験・情報モラル教育
STEP3 教室外での 有線LANを使った環境下でのPC、携帯電話を使ったインターネットサービスの体験・モラル教育
STEP4 モバイル対応のタブレット、スマートフォンを使ったインターネットサービスの体験・モラル教育

 

成果

児童生徒向けの教育プログラムであったが悪徳サービスの不正請求や通信記録、ログの保存の仕組みなど、教員やPTA、保護者も学ぶべき点が多く指導者側にもネットサービスの実態を意識化する効果があった。それにより情報モラル教育の必要性を再確認することができた。

 

まとめ

情報モラル教育の基礎的な知識、ポイントをご紹介いたしました。指導者が見えない範囲での言動や情報発信が中心のインターネット上でのモラル教育はどれだけ利用を開始する前に正しく行えるかもポイントになります。低学年時期より段階に合わせた指導内容を構築し、指導者側も正しい知識を持ち合わせ適切に指導を行いたいものです。

PBL/アクティブラーニング実践BOOK PBL/アクティブラーニング実践BOOK
     

執筆者:キャリア教育ラボ編集部