キャリア教育コラム

アクティブラーニングの意味・定義と、実践のための9つの手法例

更新日:2018/03/01

近年は学びの場にも変化が訪れはじめました。すでに多くの教育現場ではアクティブラーニングが取り入れられています。アクティブラーニングとは、学生参加型・学生主体型の学習方法です。学ぶ側が積極的に授業などの学びの場に参加しながら、自ら考え、自ら能動的に動くことで、現代社会で求められている能力を養います。

 

アクティブ・ラーニングの手法

 

これまでの授業は、教員や指導者が一方的に学習者に知識、技能を教えるだけで、一方通行の受動型の学び方でした。なぜなら、これまでの社会で求められてきたことは、指示されたことをいかに上手くこなすかが求められてきたからです。しかし、現在は情報化社会が進み、知識・情報・技術の変化するスピードが格段に上がり続け、質の高さや豊かさを重視した成熟社会に移行しつつあり、従来の組織や手法を前提とした生き方では時代に適応することが難しくなってきています。また、社会が多様化しテクノロジーが急激に発展することで、その場の状況や相手の価値観を理解しながら自分の考えをまとめて発言したり、相手にふさわしい表現で伝えたり、答えのない課題に向き合い他人と協調しながら解決することを求められることが増えています。

 

 

そこで従来の教育では時代に適応した人材の育成が難しいため、新しい教育方法に注目が集まりはじめました。この新しい教育方法こそがアクティブ・ラーニングなのです。この記事では、このアクティブラーニングの定義と実践するために必要な9つの手法をご紹介します。

 

 

1.アクティブラーニングの意味と定義

アクティブラーニングとは、思考を活性化するための学習方法のことです。具体的には自らの頭で考えて実行したり、手元にある情報を整理してわかりやすくしたり、複数人で意見を出し合いながら考えをまとめるような学習方法のことをさします。そのためアクティブラーニングでは、従来型の教師から生徒への一方的な授業ではなく、教師と生徒や生徒同士がお互いを巻き込みながら学習していきます。

アクティブラーニングの具体的な実践方法にも下記の図のように様々な手法があります。図のうち第3象限、第4象限にあるグループ学習やプレゼンテーション、レポート、ディベート等は比較的授業に取り入れやすく、思考を活性化させるのに役立ちます。これらを行うことで教養、知識、認知力、倫理感、社会的能力、経験などの育成を目指していきます。

 

アクティブ・ラーニング種類

2.アクティブラーニング実践のための9つの手法

アクティブラーニングの意味と定義を理解いただけたと思いますので、次に実践方法をご紹介します。アクティブラーニングを実践するためには、現在では9つの手法が代表的です。アクティブラーニングを教育に取り組んでいきたいときは、これらの手法を実践してみましょう。

 

2.1 Think-Pair-Share

Think-Pair-Shareは、他者の意見と比較をしながら、自分の考えを明確にしたり深めたりしていくのに有効的な手法となっています。また、クラスやグループ全体での討論をするときの準備にもなる手法です。

・実施方法

1)教員が全体に1つの質問をしたり、問題を出したりします。
2)個別に数分間考える時間をつくります。
3)その後、ペアを組んでお互いに自分の考えを紹介します。ペアの考え方に違いがある場合には、それぞれの考えの根拠を明確に説明します。また、双方の意見を併せて1つの意見にまとめることができないか検討してみます。
4)最後に4~6人のグループになり、それぞれのペアで話し合った内容を紹介します。

 

 

2.2 ラウンド・ロビン

ラウンド・ロビンは、4~6人のグループになり、意見やアイデアを順番に話していく手法です。ラウンド・ロビンは、ブレインストーミングの簡易版と考えるのがわかりやすいでしょう。話した人の考えに質問や評価はせずに、新しい考えを次々に生み出していくことを目指していきます。話した意見やアイデアは記録をしていき、次の段階での課題(KJ法的にまとめるなど)に使用します。

・実施方法

1)教員が全体に1つの質問をしたり、問題を出したりします。
2)教員から質問や評価を挟まずに、素早く簡潔にアイデアを出すように注意事項として伝えます。意見やアイデアを記録する記録者を決めます。一巡で終了するのか何度か周るのか、また時間制限などに関してもあらかじめ伝えます。
3)誰からスタートするか決めて開始します。

 

 

2.3 ピア・レスポンス

ピア・レスポンスは、レポートやプレゼンテーションなどを準備する過程において、アウトラインを他者の目を通して検討することで、改善のヒントを得ることを目的としています。また、他者の文章や準備物を読み、率直に感想や改善の箇所を伝えることも目指します。書き手と読み手の視点を体験し考えフィードバックし合うことで、表現能力を高めることができます。

・実施方法

1)ペアをつくり、お互いのアウトラインを読み合います。
2)まずは、1人が自分のアウトラインを説明して、もう1人は聞き手になります。
3)聞き手は相手のアウトラインを自分の言葉に直しながら随時確認をしていきます。
4)聞き手は書き手に、アウトラインのよいところ、そして次に改善した方がよいところを伝えていきます。
5)役割を交代して、2)~4)を繰り返します。
6)相手からのフィードバックを参考にしながら、各自がアウトラインを改善する作業をします。

 

 

2.4 ジグソー

ジグソーは、一度4~6人のグループをつくります。そこで各メンバーが自分の学習する内容を相談して決めます。次に別のグループで自分が割り当てられた内容を学習して、もともと所属していたグループに専門家として戻ります。そして、各内容の専門家としてお互いに教え合う方法です。他者に教えることができるようになるためには、理解が十分深まっていないといけないことに着目した手法です。最後にクラス全体で理解の確認や討論を行うことが、よりよい学習になるでしょう。

・実施方法

1)教員から学習するテーマとそれを4〜6個に細分化した学習する内容を伝えます。
2)グループ内で各メンバーが担当する学習内容を決めて、一度グループを解いて学習内容別に専門家グループをつくります。
3)それぞれの専門家グループで担当する内容の学習を深めるとともに、それを他者にわかりやすく教える方法を考えます。
4)専門家グループを解散して、もとのグループに戻り担当した内容を教え合います。

 

ジグソーイメージ

 

2.5 マイクロ・ディベート

ディベートは授業を総括する段階ではとても有効な方法ですが、本来のディベートを授業で行おうとすると5コマ程度の時間が必要になります。通常の授業ではそれほど時間に余裕がないことが多いのが現実でしょう。そのような状況で用いられることが多いのが、疑似ディベートであるマイクロ・ディベートです。ここで紹介するマイクロ・ディベートは、2コマを使って実施することを想定しています。

・実施方法

1)まずは、教員から論題を提示します。
2)個別に肯定または否定のいずれの立場をとるかを決めて、その論拠を5つ以上書き出します。
3)続いてその反対の立場をとった場合を仮定して、そのときの論拠を5つ以上書き出します。
4)3人組をつくって、肯定側・否定側・ジャッジの役割を順にとり3回のディベートを行います。そのときの流れは以下のようにすると40分程度で一巡することができます。

・肯定側立論(2分)
・否定側立論(2分)
・肯定側反論(1分)
・否定側反論(1分)
・自由討論(2分)
・判定
・振り返り(3分)

5)授業外課題として調べて準備をします。次の授業でグループを変えてディベートを行います。
6)ディベートのまとめとして、反論の想定を含めた2,000字程度のレポートを提出します。

 

 

2.6 LTD(Learning Through Discussion)

LTDは、話し合いの学習法として知られている手法です。学生はノートをつくりながら予習用資料の内容を理解して、自分自身や他の知識との関連付けをしてから授業に臨みます。LTDのような話し合い学習を進めるには、このような収束的な学習と拡散的な学習を事前に十分に行うことが必要不可欠です。授業では5人組になり、合計60分の以下のようなステップにしたがって、予習ノートをもとに理解と評価を深めていきます。

・実施方法

1)導入の雰囲気づくり(3分)
2)予習課題の内容理解を確認するために、言葉の定義と説明(3分)、全体的な主張の討論(6分)、話題の選定と討論(12分)
3)他の知識との関連付け(15分)および自己との関連付け(12分)
4)学習課題の評価(3分)および学習活動の評価(6分)

 

 

2.7 学生主体型実地調査

学生主体型実地調査では、例えば、100人の初年次医学生に毎回2人以上の教員で対応しながら、調査準備のサポートや実地調査の際のマナーなど必要なスキルのミニレクチャーなどをしています。早期臨床体験の事前学習として位置づけられていた手法でもあります。

・実施方法

1)10人グループを10組つくります。授業2回目から5回目までは、ビデオ視聴やゲスト講演をもとに全体討論を行ないます。
2)それらを踏まえて、各自で「医学・医療をめぐる問題点」を考えてグループ内で報告し合います。
3)各グループから5つの「問題点」を出して全体で討論してから、最終的に10の調査テーマに絞りこみます。
4)そして各グループで1つのテーマを分担して、個人個人が調べて学習します。
5)各自の学習をまとめて、グループ毎にテーマの詳細について発表します。さらに実地調査の計画を具体化して発表します。
6)その後、2週間で実地調査を行い、調査結果の発表準備をします。
7)最後の3回を公開授業として、全体発表、討論、総評を行います。

 

 

2.8 多人数双方向型授業

多人数双方向型授業は、教員と学生、また学生間のコミュニケーションが重視されており、授業中の意見交換や電子掲示板でのディスカッションの学習促進効果も確認されています。以下の例は、グループ研究のケースです。

・実施方法

1)7人~8人の課題別グループを20組つくります。課題は10章程度のテキストの各章を2グループで担当して、その章の内容に関連していてテキストが取り上げていない事例を検討します。
2)授業2回目から5回目までは、調べ学習を行います。
3)その後の10回の授業では、2グループずつが各15分で研究成果を発表します。聴衆は毎回のレポート課題として、テキストの該当章を要約して授業に臨み、質疑応答後にグループ発表をテキストの内容と関連付けて論じて提出します。
4)各発表への質疑応答は15分に設定します。質疑応答の内容は、質問者が授業後にBBSに記入して、また応答が不十分であった発表者は補足の回答をBBSに上げます。
5)全発表終了後、総括レポートを提出します。

 

 

2.9 チーム対抗型多人数討論

チーム対抗型多人数討論は、競争原理とゲーム感覚を取り入れて、150人規模の授業でも活発な討論を実現しています。背景には「シャトルカード」による教員と個々の学生とのコミュニケーションがあることが特徴です。チーム対抗型多人数討論の手順は、このように進めます。

・実施方法

1)教員から提示された10程度のテーマのうち、各自が関心を持つものを選びます。
2)そして、同じテーマを選んだ者同士で3人~4人のチームを組みます。
3)次に別のテーマをチームで選び、合計2つのテーマに関して調べ学習を行います。
4)発表用レジュメ案をテーマ毎に決められた該当授業の数日前などの期限までに提出します。
5)各回の授業では、教員によって選ばれた各テーマ上位2チームが各10分以内発表して、質疑応答に40~50分の時間をとります。そして、聴衆はチーム単位で質問を考えます。その後、発表2チームに勝ち負け投票を行います。

 

 

3.まとめ

アクティブラーニング推進

この記事ではアクティブラーニングの意味や定義、そして実践で使われている9つの手法を取り上げました。アクティブラーニングの手法であるThink-Pair-Share、ラウンド・ロビン、ピア・レスポンスは汎用性の高い方法、ジグソー、マイクロ・ディベート、LTDは構造化された方法、学生主体型実地調査、多人数双方向型授業、チーム対抗型多人数討論は多人数クラスでの工夫という風に、手法も分類があります。ここで取り上げた9つの手法を上手に使い分けながら、アクティブラーニングを実践してみてください。

 

 

 

■参考
山地弘起 長崎大学大学教育イノベーションセンター教授『アクティブ・ラーニングとはなにか
文部科学省『新しい学習指導要領の考え方 用語集
東京大学JCERI日本教育研究イノベーションセンター『マナビラボ アクティブラーニング型授業にはどんな手法があるのですか?

PBL/アクティブラーニング実践BOOK PBL/アクティブラーニング実践BOOK
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執筆者:キャリア教育ラボ編集部