キャリア教育コラム

IELTSとTOEICの違い。実践で活かせる注目の英語試験とは。

更新日:2019/09/05

ビジネス英語のスキルを測るTOEICは国内の大学受験や企業の採用活動などでしばしば活用されていますが、2020年度から運用予定となっている大学入試英語成績提供システムへの参加を取りやめたことで話題になりました。

 

2019年8月現在、大学入試英語成績提供システムには英検(実用英語技能検定)TOEFL、そしてIELTS(アイエルツ)などの民間英語試験を利用できることが明らかになっています。

 

TOEIC・英検などと比べて国内での知名度が低いIELTSですが、近年少しずつ受験者数が増えています。TOEICもIELTSも英語の4技能を測れるという点では似ていますが、出題方式や採点基準などに大きな違いが見られます。

 

TOEICとは

 

一般財団法人国際ビジネスコミュニケーション協会(IIBC)が運営するTOEIC(Test of English for International Communication)は、英語によるコミュニケーションスキルを判定するための世界共通のテストです。日本では企業や学校などでTOEICを用いて英語能力を測定することがあります。

 

TOEICは聞く力・読む力を問うTOEIC Listening & Reading Test(以下、TOEIC L&R)と話す力・書く力を問うTOEIC Speaking & Writing Tests(以下、TOEIC S&W)からなり、TOEIC L&RとTOEIC S&Wは別々に実施されます。

 

スピーキングパート試験は面接官と直接話す方式ではなく、自動音声案内に従って自身の音声を録音する方式です。

 

試験結果は、TOEIC L&Rが計10~990点まで、TOEIC S&Wはスピーキングパート0~200点+ライティングパート0~200点のスコアで判定されます。また、スピーキングパートでは発音もHIGH・MEDIUM・LOWの3段階で評価されます。

 

TOEICでは、一旦取得したスコアに有効期限はありません。ただし公式認定証の再発行期限は試験日から2年間、スコアレポートの再発行期限は採点された翌年度の4月1日から2年間となります。

TOEIC 大学共通テスト撤退

現行のセンター試験に代わって2020年度から実施される大学共通テストの一環として、大学入試英語成績提供システム(一斉試験の代わりに民間事業者が実施する英語試験の成績を用いて評価すること)の運用が検討されています。

 

当初はTOEICも大学入試英語成績提供システム(以下、システム)に参加する予定でしたが、IIBCは2019年7月にシステムへの参加申し込みの取り下げを発表しました。

 

TOEIC L&RとTOEIC S&Wの両方を受験すれば、大学共通テストで評価される読む・書く・聴く・話す技能をすべて測定できます。しかしIIBCはシステムに参加することで運営実施に伴う各種処理が複雑になり負担が大きくなりすぎると判断し、撤退の意思を表明しました。

 

ただし2020年度以降も独自の入学試験(二次試験、推薦入試など)にTOEICを活用する大学も多いと予想されるため、大学受験に際してTOEICを受ける意味が全くなくなるわけではありません。

 

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2019年7月発表 大学共通テスト 英語科目採用テスト

以下は2018年12月時点で大学入試英語成績提供システム参加要件を満たすことが確認された民間の英語資格・検定試験です。(TOEICを除く)

 

・ケンブリッジ英語検定
・TOEFL iBTテスト
・IELTS(IDP Education管轄、アカデミック・モジュール対象)
・GTEC
・TEAP
・TEAP CBT
・英検(実用英語技能検定試験)
・IELTS(British Council管轄、アカデミック・モジュール対象)

IELTSとは

 

IELTS(International English Language Testing System)は、ケンブリッジ大学英語検定機構・British Council(英国文化振興会)・IDP Education(International Development Program)が協同運営する英語検定です。

 

IELTSにはおもに英語圏の高等教育機関への出願に活用されるアカデミック・モジュールと、英語圏での留学・就労などを目的としたジェネラル・トレーニング・モジュールの2種類があります。

 

現在、IELTSは世界140カ国以上の国・地域で実施されています。受験者数は年々増加しており、2016年には全世界で290万人以上が受験しました。日本国内でもIELTSの受験者数が増加しており、2016年には3万人以上が受験しました。

 

日本国内では、British Council運営のIELTS(日本英語協会へ申し込み)とIDP運営のIELTS(日本スタディ・アブロード・ファンデーションへ申し込み)の好きな方を受験できます。それぞれの手続きなどは若干異なりますが、試験内容は基本的に同じです。

 

IELTSは本人確認が厳しいことでも知られており、申し込み及び試験当日には有効期限内のパスポート原本が必要です。さらに、試験当日は指紋認証と顔写真撮影による本人審査が行われます。

IELTSで測る能力

TOEICと同じく、IELTSでも英語を読む・書く・聴く・話す技能を測定します。IELTSでは英語の知識量よりも運用能力を測ることを重視し、より実践的なコミュニケーション能力が求められます。

 

マークシート方式が中心となるTOEIC(ライティングパートはタイピング記述式)と違い、IELTSは筆記具を用いた完全記述式となっています。ライティング試験はもちろん、リスニング・リーディング試験でもスペルの正確さと文字の読みやすさが求められます。また、選択式問題のように当てずっぽうの解答でスコアを稼ぐことも難しくなります。

 

アメリカ英語をベースに作成されているTOEIC・TOEFLに対して、イギリス発祥のIELTSはイギリス英語をベースに作成されています。イギリスまたは元イギリス領の国(オーストラリア・南アフリカなど)への留学を希望する人は、IELTSを受けておくとよいでしょう。

IELTSのテスト形式

 

IELTSの試験は、リスニング・スピーキング・リーディング・ライティングの4セクションで構成されます。

 

リスニング試験では、聞き取った内容の大意を理解する力と情報を正確に聞き取る力が求められます。日常会話から講義・セミナーまで幅広い内容が出題され、リスニング時間とは別に解答を記入するための時間が設けられています。

 

面接官と1対1で行われるスピーキング試験の内容は、自己紹介・プレゼンテーション・質疑応答となります。単語・文法・発音を間違えないことだけでなく、自分の意見を筋道立ててわかりやすく伝える力や与えられたトピックに関して深く考える力、具体的な質問だけでなく抽象的な質問にも対応する力が重視されます。

 

リーディング試験では、文章の大意を把握するスキミング力と文中の特定の情報を探し出し正確に理解するスキャニング力が求められます。アカデミック・モジュールでは、専門知識をさほど必要としない文章(新聞・雑誌記事など)3種類から計40問が出題されます。

 

2本のエッセイを書くライティング試験では、英語を用いて客観的に説明するスキルと自分の意見を論理的に展開するスキルが求められます。アカデミック・モジュールの場合、図やグラフなどから読み取った情報を文章にまとめる問題と特定のトピックについての意見を論理的に展開する問題があります。

評価方法・バンドスコアとは

IELTSには合格・不合格という概念はなく、0~9.0のバンドスコアで英語力が示されます。各セクションのバンドスコアと、各セクションのバンドスコアの平均値であるオーバーオール・バンドスコアが算出されます。

 

 

リスニング・リーディング試験では、正答数に応じてスコアが算出されます。スコアは0.5刻みとなり、正答数39~40問ならスコア9.0、正答数35~36ならスコア8.0となります。

 

ライティング・スピーキング試験では、定められた基準(語彙力・一貫性・文法知識・会話の流暢さ・発音・質問に対する返答の適切さなど)の達成度に応じてスコアが算出されます。採点者の主観によってスコアに差が出ないよう、各基準は細かく決められています。

 

2017年のアカデミック・モジュールにおける日本人のオーバーオール・バンドスコアは、平均で5.81となりました。セクション別の平均値はリスニングが5.91、リーディングが6.09、ライティングが5.41、スピーキングが5.59となっています。

 

この結果から、日本人は与えられた文字情報を正確に読み取り理解する英語力は高いものの英文・英会話を用いて自分の意見を発信する力が低いことがわかります。

 

なお、IELTSバンドスコアの有効期限は試験日から数えて2年間となります。

「生きる力」の育成にもつながるIELTS

大学入試英語成績提供システムから撤退したTOEICと並んで、今後は同システムに活用できるIELTSの知名度が高まると予想されます。IELTSはイギリス発祥の英語テストなので、将来イギリスなどへの留学を考えている人にもおすすめです。

 

大学共通テストに活用できる民間英語試験は他にもありますが、IELTSでは英語力そのものとともに決まった答えのない問題について深く考える能力や自分の意見を論理的にまとめて相手にわかりやすく伝える能力などが求められます。

 

IELTSに必要とされるこれらの能力は、これからの教育現場や社会で重視される「生きる力」とも共通しています。言い換えれば、英語力とともに生きる力を十分に身につけておくことで、IELTSでも高いスコアを獲得しやすくなると考えられます。

 

■参考
IIBC 一般財団法人国際ビジネスコミュニケーション協会
独立行政法人大学入試センター
IELTS Test taker performance 2017

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執筆者:キャリア教育ラボ編集部