キャリア教育コラム

アクティブラーニングとは?そのポイントと特徴を事例も交えて解説!

更新日:2018/03/10

文部科学省により積極的に導入が進められているアクティブラーニング。しかし教育の現場では実際にどのような内容で、授業としてどのように取り入れていけばよいのか、難しく感じてしまい、なかなか実践できていないのが現状ではないでしょうか。そこでまずは授業に取り入れるハードルを低くするために、アクティブラーニングについて正しく理解することから始めてみませんか。

 

アクティブラーニング

 

1.アクティブラーニングとは

アクティブラーニングとは、これまで多かった教員の一方的な講義形式の授業ではなく、生徒が能動的に考え、学習する教育法のことを指します。具体的にはグループディスカッション、ディベート、グループワークなどを通して認知的、倫理的、社会的能力、教養、知識、経験などの育成を図ります。そしてアクティブラーニングの最大の特徴であり、この教育法の目指すところは「正しい知識の修得ではなく、正解のない議論(課題)を通して問題解決へのアプローチ方法を身につけること」にあります。
したがって教える側、つまり教員の役割は正解・解答のある課題を教えることではありません。講師(レクチャー)ではなく、進行役(ファシリテーター)が教員の役目であり、中立的な立場で議論の進行をサポートすることが求められます。

 

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2.アクティブラーニングが導入される背景

1項ではアクティブラーニングとはどんな教育法であるのかを簡単に説明しましたが、ではなぜアクティブラーニングが各教育の場へ導入されることになったのでしょうか。この項では教育現場でアクティブラーニングの必要性が高まり、導入が積極的に進められている背景について説明します。

 

昨今アクティブラーニングという教育法の導入が必要とされているのは、現代日本の抱える社会問題に大きく関係しています。現代の社会問題、具体的には少子高齢化、グローバル化への対応、人口減少などがありますが、今の子どもたちが成長して社会で活躍する頃には、これらの問題はさらに深刻化し厳しい挑戦の時代へ入ることだろうと言われています。そんな中、これらの問題に立ち向かい、生き抜くためには「主体的・協同的に課題を発見し解決する力」が必要です。

この「主体的・共同的に課題を発見し解決する力」を身につけるためには、これまで主流であった「正しい知識の修得や正解・解答のある課題を教える」教育ではなく「課題の発見と解決に向けて主体的・協働的に学ぶ学習」という学びの質と深さを重視した教育が必要であり、それこそがアクティブラーニングの本質だと言えます。

 

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3.アクティブラーニングの教育方法・学習方法の種類

アクティブラーニングには特に決まった形はなく、様々な技法と構成で多様な授業が展開されています。ここではアクティブラーニングを実施するのに必要な要素と一般的な特徴を挙げて、その教育方法および学習方法の種類について説明していきます。

 

アクティブラーニング実践

 

まずアクティブラーニングを行う際に、学生(学ぶ側)に必要な要素は次に挙げる3つの姿勢で表現されます。

1.予習し議論に備える姿勢
2.知識を主体的に学ぼうとする姿勢
3.考えの異なる人と議論しようとする姿勢

この3つの要素が学ぶ側に揃っていればアクティブラーニングの授業の為に新たに道具を揃える必要はありません。

 

次にアクティブラーニングを実施する際の授業の特徴ですが、それは次に挙げる6つとなります。

1.学生は、授業を聞く以上の関わりをしていること
2.情報の伝達より学生のスキルの育成に重きがおかれていること
3.学生は高次の思考(分析、総合、評価)に関わっていること
4.学生は活動(例:読む、議論する、書く)に関与していること
5.学生が自分自身の態度や価値観を探求することに重きが置かれていること
6.問題解決のために知識を使ったり、人に話したり書いたり発表したりすること

以上に挙げた3つの要素と6つの特徴が取り入れられたアクティブラーニングの授業が、ペアワーク、PBL(問題解決型授業)、体験学習、調査学習、ディベート、プレゼンテーション、反転授業などと呼ばれています。
 

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4.なぜアクティブラーニングが必要なのか

アクティブラーニングの教育法や目指すところについて理解したところで、なぜ今日の日本でアクティブラーニングが必要とされているのかを考えてみます。

 

アクティブラーニングが教育現場で必要とされていることは、先程述べた導入される背景にも関連しますが、現代日本の若者をとりまく現状と強く関係しています。まず現代日本の若者について、国立青少年教育振興機構が2015年に調査した「高校生の生活と意識に関する調査報告書」によると、日本の若者は自分自身について自己肯定感が低く、自信がなく、ネガティブな項目に対して回答率が高く、ポジティブな項目に対して低い傾向を示しているそうです。

 

若者の問題

 

また文部科学省が2014年に調査した大学生の学習状況に関する調査結果によると、日本の大学生の6〜7割の学生が1週間で「授業の予習・復習」と「大学の授業とは関係ない自主的な学習」に費やす時間が5時間以下となっています。そしてOECDが実施する高校生対象の「PISA調査(学習到達度調査)」によると、日本の高校生は一定レベルの学力を有しているが、「考える」、「応用」、「自由記述」の3つが苦手な傾向にあるという結果が出ています。

 

このような日本の高校生の現状からみると、少子高齢化や人口減少など現代日本が抱える様々な社会問題に立ち向かい生き抜く力が不足していると考えざるをえず、そう言った問題に主体的・協働的に取り組む姿勢を、アクティブラーニングを通して養う必要があると言えるのではないでしょうか。

 

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5.アクティブラーニングの事例

ここまでアクティブラーニングの概要や必要性について述べてきましたが、やはり実際の教育現場ではどのように取り組みがされているのか気になりませんか。ここではアクティブラーニングが実際にどのように実践・導入されているのか事例を挙げて紹介していきます。
参考文献は、長崎大学の大学教育開発センターがまとめた国内大学におけるアクティブラーニングの組織的実践事例です。この報告書の中では高度なアクティブラーニングを組織的に実施している10件の事例を紹介していますが、今回はその中から2つの大学の取り組みを紹介します。

 

・実践事例1【同志社大学】

 

同志社大学

同志社大学では2006年より全学共通のキャリア形成支援科目として「プロジェクト科目」を新設しました。科目の目的は問題発見能力や問題解決能力の養成や、社会で活躍するための総合的人間力を高めることにより、協働的・集団的にプロジェクトを行い、プロジェクトリテラシーを養成することにあります。

 

プロジェクト科目は毎年25科目前後が採択され、250~300名の学生が履修しています。履修の元となるプロジェクトの採択にあたって企業、団体、個人から公募を行い、大学の検討部会にて審議の上、採択される仕組みを取っています。外部から課題を公募することによって地域社会の力と教育力を大学に導入することができるという特色ある授業を展開することができています。

具体的な授業は5〜15名程度のグループ編成で次の9つのステップの順に展開されます。

・プロジェクト科目実施の9つのステップ

①ブレーンストーンミングによるアイデア出し → ②企画書作成・プレゼンテーション → ③プロジェクトとしての企画書の作成 → ④企画書を実現するための綿密な行動計画 → ⑤行動計画をタスク(仕事)表に仕上げる → ⑥タスクの分担・プロジェクト内の役割分担 → ⑦タスクの実行と管理 → ⑧最終成果報告 → ⑨振り返り

 

 

・実践事例2【岡山大学工学部 機械工学コース】

 

岡山大学

 

岡山大学では知識獲得と創成力(企業技術者として新たな技術・製品を開発する能力)を伝統型講義とPBL(問題解決型授業)で分担し実施しています。PBLでは唯一解のない課題を生徒に与え、自分で目標をたて、無数にある答の中から最適なプロセスを学ばせる方法をとっています。実施時期は大学2年次前期から3年次後期まで、3科目を必修として実施しています。また「自ら考え、発言し、行動する」発想型技術者には正確で論理的な「読む、書く、話す」という日本語力が不可欠とされているため、機械工学コースでは、読む訓練で知識力、書く訓練で思考力、話す訓練で判断力の養成を行っています。

 

具体的なPBLの授業の受講生は80数名で、2~3人のグループで身の回りの道具を発明・改良する思考実験を行い、その結果をレポートやプレゼンテーションで発表をしたり、「金属ピース運び現代版からくり」を作成、そのコンテストを学生主体で企画、公開実験を行うなど多岐にわたります。評価は学生個人の発想力を評価する項目として、リーダーシップ・課題探求力・チームワーク・実務能力・創成能力の5つの項目を用い評価されます。また全体を通してプレゼンテーションやディベート能力の向上も目標とされています。

 

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6.まとめ

アクティブラーニング推進

アクティブラーニングとは知識学習や解答の決まった課題に取り組むのではなく、正しい答えが一つでない問題や課題に取り組む学習方法です。これからの日本社会及び国際社会で生き抜くためには主体的・協働的に問題を発見し、解決する能力が求められており、その力を養うことができるのがアクティブラーニングです。教育現場への導入・実践は授業形態がこれまでの教育法と異なることから、なかなか進んでいないのが現状ですが、これからの日本社会を担う若者の育成のためにもアクティブラーニングの実践と推進が望まれています。

 

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■参考
NUCB名古屋商科大学『アクティブラーニングとは
文部科学省『初等中等教育における教育課程の基準等の在り方について(諮問)
文部科学省『新たな未来を築くための大学教育の質的転換に向けて~生涯学び続け、主体的に考える力を育成する大学へ~(答申)
NAOSITE:長崎大学学術研究成果リポジトリ『国内大学におけるアクティブラーニングの組織的実践事例
財団行政法人国立青少年教育振興機構『高校生の生活と意識に関する調査報告書
文部科学省国立教育政策研究所『大学生の学習状況に関する調査について(概要)
大学新聞社発行『進路アドバイザーのための基礎知識2017

PBL/アクティブラーニング実践BOOK PBL/アクティブラーニング実践BOOK
     

執筆者:キャリア教育ラボ編集部