キャリア教育コラム

キャリア教育コーディネーターとは?どこよりもわかりやすく解説

更新日:2018/03/01

キャリア教育をすすめるためにキーパーソンとなるのは誰だかご存知ですか。様々な職業に関して子どもたちに理解を深めさせるキャリア教育、教科書に頼らず様々な業種の社会人と交わり、学びを与える授業を学校の教員だけで行うのは一苦労です。そこで登場するのが、キャリア教育をすすめる上で重要な役割を果たす「キャリア教育コーディネーター」の存在です。ここではこの「キャリア教育コーディネーター」についてわかりやすく解説します。

 

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1.キャリア教育とは

最初にキャリア教育とは何か、について簡単に説明します。1999年より文部科学省が提唱し、国の推進施策としてすすめられてきた生きる力を育むための教育を「キャリア教育」と呼んでいます。キャリア教育では、「職業観と勤労観を養い、職業に関する知識と技能を身につける」こと、「自分の個性を理解し、主体的に進路を選択する能力・態度を育てる」ことの2つを大きな目標においています。また2011年には中央教育審議会ではキャリア教育のあり方を「一人一人の社会的・職業的自立に向け、必要な基盤となる能力や態度を育てることを通してキャリア発達を促す教育」であると定義し、その実施が一層推進され始めています
キャリア教育がすすめられている背景には、少子高齢化や終身雇用制度の崩壊など日本の社会構造の変化により顕在化した、若者の精神的・社会的自立の遅れ、フリーターやニートの増加、新卒者の早期離職問題といった現代日本の社会問題があります。この社会問題をキャリア教育を通して解決すること、若者の自立支援を促す役割がキャリア教育に期待されているのです。

 

もっと詳しく⇒『キャリア教育とは?キャリア教育の3つの事例と国の取り組み

2.キャリア教育コーディネーターとは

キャリア教育は小学校から始まり、中学、高校と成長していく過程で発達の段階に合わせて実施されていますが、キャリア教育をすすめる上で「キャリア教育コーディネーター」という存在が重要な役割を果たします。ここではキャリア教育コーディネーターについて簡単に説明します。
キャリア教育コーディネーターは主に学校におけるキャリア教育の充実のために、学校と外部の架け橋となる学校外の教育支援人材のことです。2011年には一般社団法人キャリア教育コーディネーターネットワーク協議会の民間資格として資格認定制度も制定されました。
また2011年3月に経済産業省が製作した「キャリア教育コーディネーター育成ガイドライン」によると、「地域社会が持つ教育資源と学校を結びつけ、児童・生徒等の多様な能力を活用する場を提供することを通じ、キャリア教育の支援を行うプロフェッショナルである」と定義されています。
キャリア教育コーディネーターの務めは、教育現場でのキャリア教育展開の中心として、学校と外部とをつなぐ役割を果たすことなのです。

キャリア教育コーディネーター

 

3.キャリア教育コーディネーターがなぜ必要なの?

キャリア教育とその発展の中心を担う役割がキャリア教育コーディネーターの仕事であるとここまで述べてきましたが、なぜキャリア教育コーディネーターが必要とされているのでしょうか。理由を理解するにはキャリア教育コーディネーターが生まれた背景について詳しく知る必要があります。

 

キャリア教育コーディネーターの必要性が認識されたのは2005年に経済産業省が行った「地域自立・民間活用型キャリア教育プロジェクト」が始まりです。これは国がキャリア教育推進の取り組みを行うにあたり、学校と地域との産学連携によりキャリア教育の発展に繋げるために行った企画です。このプロジェクトは2005年から3年間小中高校において、仕事の体験や職業の理解を促進するためNPOや企業などの民間が中心となったアイデアを活用したキャリア教育事業でした。

 

この3年間のモデル事業を展開するにあたって、地域が一体となりキャリア教育を自発的にすすめていくためには学校と地域社会がもつ教育資源(民間)を繋げるプロフェッショナルな「コーディネーター」の存在が必要であり、重要であると位置付けられ、キャリア教育コーディネーター育成のための研修プログラムが開発されました。このような経緯をたどり、2010年経済産業省により「キャリア教育コーディネーター育成ガイドライン」が作成されました。キャリア教育コーディネーターはキャリア教育を展開していく上で、地域と教育現場をつなぐ役割を果たす重要な存在なのです。

4.キャリア教育コーディネーターに必要な知識・技能

キャリア教育コーディネーターがキャリア教育を実施するのにとても大切な存在であることは間違いありませんが、実際の教育現場でコーディネーターにはどのようなことが求められているのでしょうか。ここではキャリア教育コーディネーターに求められている知識と技能について説明していきます。

2010年に経済産業省が作成した「キャリア教育コーディネーター育成ガイドライン」には、キャリア教育コーディネーターに必要な知識・技能は次の7つに分類されると記載されています。

・キャリア教育についての基礎的知識
・キャリア教育コーディネーターの業務と在り方
・学校と地域・企業等とのネットワーク構築方法
・産業・地域の現状
・学校の現状と課題
・キャリア教育に関するプログラムの開発方法
・プロジェクトの運営管理に必要な知識・手法

キャリア教育コーディネーター2

 

キャリア教育コーディネーターは教育現場と地域社会の間に立ち、学校の問題や職業・地域産業の理解促進に努めながら、子どもたちの社会的・職業的自立を促し、それに必要な能力を育てるためのプログラムの開発、運営実施ができることが求められています。

5.キャリア教育コーディネーターの役割と機能

キャリア教育コーディネーターに求められる知識や技能について理解した上で、次にキャリア教育コーディネーターの役割と機能について説明します。
経済産業省の「キャリア教育コーディネーター育成ガイドライン」によると、キャリア教育コーディネーターの役割は次の3つであると記載されています。

・社会的・職業的自立に向けた力の育成を支援する
・学校や児童・生徒等の現状を理解し、地域社会が持つ教育資源と学校を結びつける
・児童・生徒等の多様な能力を活用する学びの「場」を提供すること等を通じ、キャリア教育の支援を行う

また、キャリア教育コーディネーターは次に挙げる3つの機能を有すると記載されています。

「キャリア教育に必要な地域資源の発掘とネットワークの構築・維持」
「学校や地域・企業等のニーズを踏まえたキャリア教育に関するプログラムの開発支援」
「プロジェクト運営管理、連絡、調整」

つまり教育現場と地域社会の間でただ架け橋になるだけではなく、キャリア教育展開に向けて教育現場で求められているニーズや課題をきちんと理解した上で、それにあったネットワークの構築とプロジェクトを運営する力がキャリア教育コーディネーターには求められているのです。

6.キャリア教育コーディネーターの業務内容

キャリア教育コーディネーターに必要な知識や役割とその機能について具体的に述べてきましたが、最後にキャリアコーディネーターとしての業務内容について説明します。
経済産業省の「キャリア教育コーディネーター育成ガイドライン」にはキャリア教育コーディネートの業務内容は次に挙げる12の業務が主な仕事だとしています。

・学校ニーズの把握
・キャリア教育に必要な地域資源の把握
・キャリア教育ブログラム案の開発
・キャリア教育プラグラム案の提案
・学校や児童・生徒等の実態に即したキャリア教育プログラム案への改良
・キャリア教育プログラムの実施に当たっての学校との調整
・キャリア教育プログラムの実施に当たっての教育支援人材(キャリア教育コーディネーター以外の地域の教育支援者を指す)との調整
・キャリア教育プログラム実施までのその他の調整と進行管理
・キャリア教育プログラム実施当日の支援
・キャリア教育プログラムの効果測定
・キャリア教育プログラム実施後の振り返り・フォローアップ
・実施記録・報告書等のまとめ

キャリア教育コーディネーター

まとめるとそれぞれの教育現場に必要とされているキャリア教育プログラムを一から企画することはもちろんのこと、そのプログラムを開催するに当たって当日必要となる人材の確保や事前の打ち合わせなど、プロジェクト運営の中心人物として先頭に立って業務を進めて行くことが重要な業務となります。

7.まとめ

キャリア教育を実際の教育現場で進めて行くには、そのプロジェクトの中心となる存在がいなければ実現は困難です。キャリア教育コーディネーターとはキャリア教育をすすめる上で核となる重要な存在です。キャリア教育プログラムの開発・運営・展開に欠かせない存在として、また教育現場と地域社会をつなげる架け橋となり、子どもたちの職業と地域産業の理解を通して将来の自立支援を促進する重要な役割を担っています。そしてまた、キャリア教育の視点から教育現場の課題と求められているニーズを読み取り理解する力が必要となるなど、様々な能力が求められるハイレベルで、子供たちの未来をつくる支援ができるプロフェッショナルな職業であると言えます。

 

■参考、引用
キャリア教育総合情報サイト『キャリア教育コーディネーターとは
経済産業省『キャリア教育コーディネーター育成ガイドライン

 

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執筆者:キャリア教育ラボ編集部